ホテル•メガチキニ

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バド•ライトイヤー

窓を開けてキャンピングチェアを引っ張り出し、バドワイザーの缶を開けてホルダーに置く。夜は遠くの音がよく聞こえる。川沿いの貨物ヤードをでた列車が重い音を立てながら通り過ぎてゆく。用途地域の境にあるこのマンションはやたらと見晴らしが良い。

今度は普通列車が行く。貨物より軽快な音だ。遠くのタワマンのアンテナが赤く点滅し、地面の近くでは信号が青に変わる。夜は好きだ。夜の青信号は人の少なさを際立たせる。夜の青信号は好きだ。本当は夜の町を歩きたい。バド飲みながら赤信号を無視して通りの真ん中を歩きたい。終夜営業のファミレスのドリンクバーで長めの本を読みたい。6時前に店員がやって来て「一旦お会計をお願いします」、それで通勤ラッシュの直前の電車で家に帰るのだ。

そういう生活は二度とできない。せいぜいベランダにキャンピングチェアを出してビールを飲むくらいしか。