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生活をたたむ

(3月25日に書いた文章)

 生活をたたむ時になって初めて、いかに生活するということが複雑な営みであるかを目の当たりにする。何を唐突に語っているのか、というと、引っ越しをしました。

 もともと急場しのぎに入居したシェアハウスに、もう三ヶ月も居座ってしまい、そろそろ潮時だと感じることが増えた。居心地は悪くはなかったけれどいいという訳でもない。やっていける、という程度。もともとスーツケース1つ分の荷物しか持ち込んでいなかったので、荷物をまとめるのも小一時間あれば十分だろうと踏んでいた。

 インターンを早退させてもらって、部屋を片づけ始める。想定通り荷物はそんなに多くはなく、(三畳に満たない部屋なので当然)薬局で2箱もらってきたダンボールも1箱目の半分で事足りそう。それでも、私はどう荷造りしていいかわからなかった。「洋服」や「本」といったように名前をつけて纏められるものはいいけれど、変換プラグとか、電球ソケット、木工用ボンドと木ネジ、目覚まし時計、ツボを押すやつ、5膳セットで買った箸の残り4膳と2合くらい余ってる米。どれも来たときにはなかったもので、生活の必需品(木ネジが必需品?)。こうして「その他」の紙袋ばかりが増えていった。

 この三ヶ月は図らずも極めてシンプルな生活をしていたと思う。それこそ「最小限生活」とか何とかタイトルつけてコンペに提出したいくらい。それでもこれだけの「その他」を蓄積しないと生活できない。まともな家にまともな年数暮らしていたらどれほどのあれやこれやを溜め込んでいくことになるかと思うと気が遠くなる。「住まい方」って、もっときれいに1枚の絵に描けるようなものだと勝手に思っていたよ。