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サブアカウント:路上( mixologist2828.hatenablog.com )

なぜ山谷に関わるか

東京には有名な地名は数多あるが、その中でもこれほどその文字の並びが見つけにくいものはないのではないか。山谷のことだ。少しづつ「ふつうの」街に落ち着きつつあるこの地域は、今では南千住や北浅草といった名前をつけられることが多いようだ。私は東京に未だ残るドヤ街、この山谷をたまに訪れている。あるボランティア団体の末席に加わっているのだ。もとはといえば卒業論文と卒業制作のテーマとして扱ったのがきっかけで、提出したからはいさようならというのは不義理極まりないだろうということで、足手まといになりながらも細々と活動を続けさせてもらっている。

しかし私が山谷に行くのは、決して慈善の心や、社会的使命感からではない。私にはある目論みがある。私はいずれ、山谷をふるさとにしようと企んでいる。

詳しく説明する前に、私のちょっとした体験談に付き合ってほしい。ここ1年間で私は3回引越しをした。そのうちの一ヶ月は、帰るべき住所を持たない生活も経験した。部屋を引き払うたびに私の荷物は減った。部屋も狭くなっていった。今は三畳足らずの部屋にスーツケース一つで暮らしている。別に苦労を語りたいわけではない。なぜなら私はこの生活が気に入っているから。去年の一月の終わりに後にした広くて寒くていつも散らかっていた生活に比べれば、両手を伸ばせば壁にぶつかる程度しかない空間を最大限自分にフィットさせている今はとても快適だ。そして何より、いつでもどこへでも旅立てるという事実は、不甲斐ない自分にも自信を与えてくれる。「ティファニーで朝食を」のヒロインが郵便受けに「住所:旅行中」と書いた、あの心境だ。しかしこの生活にも欠点がある。湯船につかれないのだ。湯船が恋しくなると、実家に帰る。実家?そう、いつでも実家に逃げ込める身でおこがましくも流浪の身の上を語ったいたのだ。些か情けなくはあるまいか。

本題に戻るのだが、私がこの一年で行き着いた一つの結論は、一言でいうならこうだ。

 流浪するにも、家が要る

これが、私が山谷に関わる理由だ。日本を、世界を、一巡りしたあと帰るべき場所を確保しておかねばなるまい、と思い立ったのだ。山谷は元々そういう場所だ。独り身の流れ者たちがふるさとと思える場所だ。それは一朝一夕にできるものではない。土地を買えば、家を立てればできるものでもない。いくら住んでもふるさとにならない場所もある。山谷は、「旅行中」の人たちに優しかった。私はこの優しさの共同体の扉を叩こうとおもった。まだ若い私は、今彼らが必要とする助けになれるかもしれない。自分自身が旅に疲れた時に助けてもらうために。

文章の練習 2/6 (雨の月曜日)

目が覚めたのは9時半を過ぎたくらいだったように思うけれども、あまり良く覚えていない。今日は一日中予定がないので、時間を気にすることもない。昨晩読みかけのまま寝落ちしていたキンドルがベッドから落ちそうになっているのをそれなりに慌てて救出して、まだ焦点のうまくあわない目をこすったり押さえたりしながら昨日の続きを読む。気鋭の若手と呼ばれていて、テレビでもよく見かける社会学者の書いた小説。読み終わると寝起きの悪い俺には珍しく、シャワーを浴びて起き出す気になった。それが10時ちょうど。1階のコインシャワーから戻り、6階の個室ゾーンの扉を開けると、正面の奥の窓から明るい灰色の外が見えたので、外を覗きにと窓際まで行くと、今日はどうやら雨らしいことがわかる。国道4号線は車ばかりで人は少なく、はじめは雨が降っているのかそれとも少し前まで降っていたのか判断がつかなかったが、交差点の方を見下ろすとビニール傘が空の明るい灰色を柔らかく反射していた。カーペンターズの「雨の月曜日は」という曲を思い出すような雨だった。今日は本当は水曜日だけれども。本当はなんという曲なんだろうか、といつも思う。「雨の月曜日はさいあく」という歌詞だけがいつも頭の中でリフレインする。あとでちゃんとググっておこう。棚からキッチンセットをとって、エレベーターで8階にあがると、リビングでは清野さんがノート‐パソコンに向かっていた。大野さんはもうずいぶん長くここにいるらしい。いつも夜遅くに帰ってきてリビングのソファでテレビを見ながら寝ている。8階からは雨の国道4号線がよく見えた。トラックと営業用の白い軽自動車が多いからか、国道も心なしか明るい灰色の雰囲気を帯びている。赤信号になるたびにその左側に数ダースの赤いランプが灯り、一分ほどでまた元通り灰色の川に戻る。いつの間にか大野さんがいなくなった8階はとても静かだ。トーストとコーヒーも終えてしまったし、さっき入れた美容院の予約までもあと1時間ほどある。写真を取りたいと思うけれども、カメラは彼女の家に置いてきてしまっていた。ここ3日間くらいは建築倉庫ミュージアムの展示準備にかかりっきりだったのが昨日無事オープニングを迎え、一転してなにもやることがなくなってしまったのだが、3年前に建築学科に入ってからこの方常にこういう怒涛と怠惰の繰り返しの生活で、そろそろいい加減なれてきたのか急に訪れた退屈に戸惑うこともなくなった。いつの間にかアップルミュージックで流していたLumpの東京ユウトピア通信は終わってあとは4号線を走る車が路面に薄く溜まった水を跳ね上げる軽快な音が聞こえてくるだけ。40分後には着替えて美容院に行こう。その後は学科の横山に教えてもらったコメダ珈琲で作業しよう。パソコンを開けば何かしらやらなければならないことがあるはずだし、なければ留学中に読んでいたリキッドモダニティのまとめでもしておこう。だとしてもあと40分間は、車のシャーっていう音を聞き続けるにしては長いな。ひまだ。

Lisztomania/ Phoenix 和訳(意訳)

 

エモい。エモいというか、情熱的だ。

まだ嫌いにはならない。

けれども、この秘密結社にいるとなぜか憂鬱で寂しい。

最近は何か、別なものを探している

もう手遅れかな?

 

ゆっくり冷めていく 

あんなに熱狂したもの全てが、遠く感じる。

待ち遠しかった週末だけど、もう終わりにしよう。

この恋は選ばれし紳士の秘密結社だったのに。

 

オタクたちの週末

信者はもう考えることもせず、数だけが増えていく。まるで暴徒だ。

簡単には侵されない趣味だけど、今ならきっぱり諦められる。

 

追っかけ、だまされ、立ちつくす。

気持ち悪いし、醒めた。

折角の週末だけれど、もうやめた。

俺たちの居場所だったけれど、これで一人になってしまう。

 

ゆっくり冷めていく

ライブに行く代わりに写真を燃やそう

そうしたらもう話すことも何もない。

きっと一分も喋れないな。もうオタクはやめた。

僕は変わった方がいい。そういうものだろう。

 

幕が上がる。つぎ込んだ時間が僕達の愛なんだ

 

もはや群衆の、オタクたちの週末

考えることもせず、数だけが膨れ上がる。

まるで暴徒。気持ち悪いし、醒めた。

 

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PhoenixのアルバムWolfgang Amadeus Phoenixの一発目。

推しのアーティストがメジャーになっていき、居場所を失ってファンをやめる歌です。

 

ーーー原文ーーー

So sentimental
Not sentimental no
Romantic not disgusting yet
Darling I'm down and lonely
When we were with the fortunate only?
I've been looking for something else
Too late, too late, too late, she'll be late, too late, too late
So go slowly discouraged
Distant from all the interests
On your favorite weekend
Ending this love for gentlemen only
That's where the fortunate only
I know I gotta be someone else
These days it comes, it comes, it comes, it comes, it comes and goes

A Lisztomania

Think less but see it grow
Like a riot like a riot oh
Not easily offended
Not hard to let it go
From the mess to the masses

Follow, misguide, stand still

Disgust, discouraged
On this precious weekend
Ending this love for gentlemen only
Wealthiest gentlemen only
Now that you're lonely
Too late, too late, too late, she'll be late, too late, too late
So go slowly discouraged
We'll burn the pictures instead
When it's all over we can barely discuss
For one minute only
Not with the fortunate only
I better got to be something else
These days it comes, it comes, it comes, it comes, it comes and goes

Oh
This is show time, this is show time, this is show time
Time, time is your love, time is your love, yes time is your love

From the mess to the masses
A Lisztomania
Think less but see it grow
Like a riot like a riot oh
disgust disgust disgust.....discouraged..